2021.04.13 Tue
糸満の誇りを伝えていくために
古くから「海人(うみんちゅ)のまち」として知られる糸満において、その文化を保全し次の世代へと受け継いでいく活動をしているのが、「糸満海人工房・資料館」の管理運営を行うNPO 法人ハマスーキである。ミーカガン(水中ゴーグルの原型といわれている)をはじめとする漁具の展示のほか、イチマングチ(糸満方言)を交えた歴史講話やサバニの乗船体験などは、地域の小学校や大学の教育プログラムとして活用されてきた実績を持つ。団体を支えてきた上原謙理事長や高齢のスタッフから知見を引き継いで若い世代が海人文化を伝承できるように、海人であった山城久雄氏による鉛筆画を活用した講話を開発した。
そのプログラムを収益事業にするため、今年度は更なるブラッシュアップとプロモーションを行う。
海人文化を核にしたまちづくり
ハマスーキは沖縄水産高校や兼城小学校をはじめ、周辺地域の小中学校を受け入れ、鉛筆画を活用した講話や体験プログラムを行った。糸満市のまちづくり委員会や海洋教育推進協議会への参加に加え、今年度はJOCA(青年海外協力隊協会)と連携。県外の修学旅行生を対象とした体験学習で、「SDGs と海人文化」をテーマに地域の資源について考える内容となっている。2月に開催された防災キャンプではアドバイザーを招き、海人文化が地域防災の一助となることを目指して取り組んでいる。これは糸満の海人が生活の中で作り上げた知恵や道具が、非常事態に役立つことがわかる内容となっている。ハマスーキはこれからも海人文化の継承とまちづくりをキーワードに活動を続けていく。
担当プログラムオフィサーのコメント
糸満海人工房資料館へ行くとミーカガンや釣り具をはじめたくさんの資料があり、その資料を見るだけでも面白くて時間の流れがゆっくりになります。また、理事長の上原謙さんのイチマングチを交えながらのお話は、食文化や民謡の話など尽きることがありません。その知見を引き継ぐ若手の上原達彦さんは、防災キャンプやSNSの活用、人材育成など精力的に活動しています。ぜひ一度、糸満海人工房・資料館へ足をお運びください。