特集記事 | かりゆし芸能公演
2026.09.11 公演レポート,特集

【公演レポート】R8 8/16「第5回高校生選抜かりゆし芸能公演」

取材日:8月17日(日)
ライター:たまきまさみ
8.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像

 今年で5回目を数える「高校生選抜かりゆし芸能公演」が、8月16日に国立劇場おきなわで開かれました。5月30、31に行われた「第14回沖縄県高校生郷土芸能ソロコンテスト」の三線・舞踊それぞれの部門で金賞を受賞した16人が、県立芸術大学(以後芸大と表記)の先輩たちや、同じソロコン経験者の先輩たちとともに舞台に立ち、晴れの日を迎えました。高校生のみなさんの当日の演舞や斉唱・独唱を軸に、公演の様子をお届けします。

10.jpg

 たくさんの観客が詰めかけた会場に入ると、例年よりも前の方の席に座ったこともあり、舞台がとても近く感じました。開演までの少しの時間、プログラムに目を通し高校生のみなさんの演目をチェックしたり、過去に受賞者だった芸大生の名前を見つけたりするうちに、「かぎやで風」で今年もいよいよ幕が上がりました。芸大生が舞踊を務める中で、歌三線の先輩方と並んで高校生8人が少し硬い表情で地謡を務める姿がありました。舞台と客席の近さも相まって、その緊張がこちらにも伝わってくるような感覚になります。続く地謡のみでの斉唱「ごえん節」と「辺野喜節」では、今年は女性の地謡も多いような印象もあり、男女の声の重なりが厚みのある歌声となって心地よく響きました。

  9.jpg

 舞踊の一人舞では、賀数あいらさんの「瓦屋」。緊張は感じさせながらも、女性地謡の歌に合わせて型に沿ってしっとりと丁寧に踊っているような印象を受けました。続く山城美夢さんの「春の踊り」。春の美しさを表現する両手の扇子を凛々しく扱いながらも、前段は少し縮こまった印象でしたが、後段の手踊りから体が自然に動いているように見え、大らかな踊りで引きつけました。所属する宮城流の豊舞会家元である宮里豊子師の振付を踊る彼女の姿に、インタビュー時の「これからもっともっといい踊りができるように」という言葉や、「先生たちの踊りが魅力的で憧れている」という言葉が演舞に重なりました。

      13.jpg

 第1部を締めくくる独唱三題では、柔らかな中音域の声で落ち着きのある歌声を聴かせた五十嵐涼介さんの「干瀬節」、哀愁を帯びた歌声が余韻を残したのは古波蔵雅さんの「散山節」、高音と語るような低音のメリハリを感じた新垣太陽さんの「仲風節」と、それぞれがどんな思いで独唱しているのかを想像し、三線の音と自らの声のみで詞に込められた情景を開いていく姿を見つめました。

12.jpg

 第2部の最初の演目は又吉綾音さんの「稲まづん」。インタビュー時に控えめな印象を受けた又吉さんでしたが「一人で舞台で踊ることも、同世代のみんなと一緒に踊ることもなかなかないので楽しみたい」という言葉を思い返しながら、しとやかに踊る又吉さんの表情に自然と焦点を合わせていました。女性地謡の歌三線の中には古波蔵さんの姿もあり、高校生たちの共演にも胸が熱くなりました。

15.jpg 「湊くり節」の島袋美癒音さんは「『高校生選抜』への出演と、国立劇場おきなわで一人踊りをすることが高校生の目標であり、夢のひとつだった」とコメントしています。男性地謡の歌三線に乗せて、陣笠をかぶって踊る後半から踊りの雰囲気が変わり、この舞台で踊れることを噛み締めつつものびのびと踊っているように感じました。一人舞の最後の演目は神田綾菜さんの「護身の舞」。公演後に「当日に向けてお稽古では、一人舞では男らしくどっしり踊るために常に腰を落とすことと、踊りと空手の部分での緩急を付けて迫力ある演舞をすることを意識しました」とコメントを寄せていますが、公演本番でも稽古で大切にしたことを発揮していて、空手の動きのメリハリや、技を決める時の所作が大きかったことも相まって、勇ましく迫力がありました。

11.jpg

 一人舞や斉唱・独唱を終えた高校生たちが笑顔を見せるのは、毎年恒例となっている演目であり、公演のラストを飾る「走りよー舟小」。第2回高校生選抜から踊られるようになった演目ですが、高校生たちにとって前年は客席から見ていたり芸大生との共演の機会だったりと、毎年インタビュー時には稽古前から公演に出る楽しみのひとつであると感じる演目です。真面目な表情を崩さない子、生き生き笑顔を見せる子とそれぞれの性格も垣間見える瞬間でもあります。村の若者たち、青年たちや娘たちと出演者が入れ替わっていく中で、高校生たちが再び舞台に戻ってくると拍手が起こり、客席では同じ振り付けを真似して踊り出す人たちもいて熱気が広がっていきました。

14.jpg

 芸大生の地謡で存在感を発揮したのは、昨年は高校生でこの舞台に立った外間凪琉さん。箏を片手で弾きながら指笛を吹く姿に歓声が上がりました。初演から見てきたこともあり、踊り手によって年々演目の印象が変わることや、演出や構成自体も変化していることもあって今年はどんなふうに展開していくのだろうと思いながらも、にぎやかで楽しく歌い踊る高校生たちの夏が終わってしまうのだなという少しの寂しさも連れてくるフィナーレでした。

 来年の高校生選抜には、先輩となって舞台に立っている人も出てくるのかもしれません。この経験を糧に、高校生のみなさんが目標とする芸能の道をこれからも歩んでいく中で、また舞台で踊り歌う姿を目にする日がやってくることを想像する時間にもなりました。高校生のみなさんにとってひとつの憧れとなる舞台として、まだ芸能に触れたことのない若い世代のみなさんにとって公演鑑賞の入り口になる機会として、「高校生選抜かりゆし芸能公演」が続いていくことを願っています。

20.jpg

17.jpg

R8高校生選抜.jpg

1.jpg2.jpg

 以下、ご来場いただいたお客様からの感想をご紹介します。

✿若い力がみなぎっていて、活力をもらいました。(那覇市:70代男性)

✿高校生の演舞・演奏レベルも高くとてもよかった。企画も次世代につなげるためにとても良い企画だと思いました。続けてください。(与那原町:60代女性)

✿舞踊と三線音楽が一つとなって、引き込まれる様な公演でした。とても素晴らしかったです。(読谷村:40代女性)

✿斉唱、地謡息がぴったり練習量がうかがえる。独唱は素晴らしい。(那覇市:60代女性)


✿沖縄の伝統文化を引き継ぐ若者が育ってくれていてありがたい。(浦添市:50代女性)

✿高校生とは思えない程、三味線独唱、踊りととても素晴らしかったです。ブラボー高校生!!(浦添市:70代男性)

✿高校生は先輩と、芸大生は後輩と一緒に舞台を創り上げる感じが、とても刺激になって良い緊張感もあり素敵な舞台でした。(沖縄市:70代女性)

✿将来性が感じられる素晴らしい演技でした。この企画をこれからも続けていただき素晴らしい文化を更に発展して欲しい。(沖縄市:50代男性)

✿高校生としてハツラツとし、その中にも初々しさもアリ今しか観れない姿だと思いました。とても良い素晴らしい舞台でした。(南城市:40代女性)

お越しいただきました皆様、ありがとうございました。

1A1A1384.jpg

公演インタビューページ
▶「第5回高校生選抜かりゆし芸能公演インタビュー」

公演情報

▶「第5回高校生選抜かりゆし芸能公演」