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2020.11.25 Wed

支援事業紹介:与那国民俗芸能の継承に向けた調査、及び人材育成計画 策定事業(一般社団法人 与那国フォーラム)

芸能継承の仕組みの再構築をめざして

与那国島には各集落に、踊座、棒座、狂言座など「座」と呼ばれる芸能継承組織がある。与那国の芸能の継承はこの「座」と、戦後に組織された「与那国民俗芸能伝承保存会」が中心となって行われてきたが、近年は芸能指導者層の高齢化や人口減少などによる後継者不足により、継承が危ぶまれる状況となっている。

そこで「DiDi 与那国交流館」の運営にあたる与那国フォーラムは、与那国島の芸能継承の仕組みの再構築を手助けすべく、平成 28 年度から活動してきた。

島内や他の島の継承について調査を重ねるとともに、関係者による座談会や勉強会、継承者同士の交流の機会も設けた。竹富島の継承者らの協力を得て実現した「民俗芸能交換会」では、双方の舞踊や狂言を披露しあうとともに、稽古や舞台進行の段取りなども含め、与那国の継承者が他の島の継承のあり方に間近に触れる貴重な機会となった。


郷友会の力も借りて、島民一体で後継者育成に向かう

継承の計画作りを進める中で、与那国フォーラムが注目したのは、もう 10 年以上行われていない祭事「シティブディ」だった。舞踊、組踊、狂言など、与那国で最も多くの芸能が演じられるシティブディを復活させ、それに向けた稽古を体系作ることで継承を円滑に進めてほしい、という考えだ。

特に組踊は、現在演じられる機会は皆無で、後継者育成に向けては、与那国を離れても芸能を続けている在沖縄与那国郷友芸能愛好会との話し合いの中で、同会の組踊経験者の協力も得られることを確認した。それに先立って今年度すでに、与那国民俗芸能保存会による在沖縄郷友会員に向けた舞踊教習という協働が動き出した。

4 年間に渡った調査は報告書にまとめられた。別冊の人材育成計画書は島内の全戸に配布される。「中学生にも伝わるように」との思いから、イラスト入りでわかりやすくまとめた計画書をもとに、島民一体となった芸能継承がスタートする。

小浜島結願祭の調査には、与那国出身の高校生も参加

担当プログラムオフィサーのコメント

今年度、小浜島の祭事の調査に与那国出身のふたりの高校生も参加しました。県立南風原高校の郷土文化コースで学び伝統芸能に打ち込むふたりは、与那国で子どもの頃から舞踊や三線に取り組み、親元を離れ進学してからも、在沖縄与那国郷友会総会などの舞台でも演舞しています。若いふたりが他の島の芸能に触れることで、将来の与那国芸能の継承に役立つものを感じ取ってもらいたいと、参加をお願いしました。

調査後には「今できることは、故郷のことを忘れず、島へ帰り、島の方たちと一緒に芸能をすること。将来受け継げるよう、今を頑張っていきたいと思います」と、その思いを寄せてくれました。