2020.11.25 Wed
もっと身近にクラシックを!
琉球交響楽団は、「沖縄に本格的なオーケストラを」と平成 13 年に発足。沖縄県内各地で演奏活動に取り組んでいる。平成 29 年度より、身近にオーケストラを楽しんでもらおうと、本補助事業を受けて室内楽アンサンブル、室内オーケストラを編成するなどし、地域のニーズに即したプログラムを開発、提供してきた。
昨年度からは、宮古島市を中心に「まちなかコンサート」を開催。地域住民と楽団員の関係性が深まるなどし、ファンの新規開拓に成果をみせた。その手ごたえを受け、今年度は、多良間村と宮古島市の2地域で「まちなかコンサートを活用した芸術発信事業~宮古島まるごとミュージャック⁉~」を実施した。
補助金終了を見据えた自走化の試み
「宮古島まるごとミュージャック!?」は、その名の通り令和 2 年1月 22 日~ 24 日の 3 日間、宮古島と多良間島のまちをまるごと琉球交響楽団がジャックするという事業である。
初日は宮古島市未来創造センター多目的ホールにて「0歳児からのコンサート」を開催。このコンサートは前年度のアンケートにて未就学児から入場可能なコンサートの要望に応え宮古島での初開催となった。
2日目は多良間島へ移動して「学校ミュージャック」と題し、小学生、中学生それぞれが楽団の後ろを、歌ったり、楽器を鳴らしたりしながら公演会場である体育館まで一緒に行進した。公演はオーケストラと子供たちの合唱による共演で感動的なコンサートを作ることができた。3日目は宮古島市内に再び戻り、15 か所で「まちなかコンサート」を行った。昨年度からの継続事業という事もあり、行く先々で演奏を心待ちにする方々が多く、着実なファンの定着化が図られた。
本事業では、「まちなかコンサート」に加え、将来の演奏家を育成すべく、宮古島市内の小中高生を対象に吹奏楽講習会を併催した他、団員向けにファンドレイジングの研修会を実施、団員のプロモーション能力の強化と、楽団経営に関する意識改革を試みるなど、補助金終了後の展開を見据えた取り組みを行った。
担当プログラムオフィサーのコメント
楽団の運営には、楽団員一人ひとりの経営感覚を高める必要があると高江洲事務局長は言います。琉球交響楽団の強みは、アンサンブルに分かれてまちなかに繰り出しても、それぞれが聴衆とコミュニケーションが深められるところ。今回、15 年ぶりの CD 制作に向け、初のクラウドファンディングにチャレンジするにあたり、資金調達のノウハウを学びました。
支援額は、目標額を大きく超え、なんと 500 万円に上りました。もともと持っていた団員のコミュニケーション能力の高さが如何なく発揮された結果です。と同時に、沖縄を代表するオーケストラの一つとして、その期待の大きさを物語っていると言えるでしょう。