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2023.12.26 Tue

【オキナワ担い手未来レポート】chapter.4 地域のコニュニケーションをデザインする

講師:紫牟田伸子(編集家/プロジェクトエディター/デザインプロデューサー)
日時:2023年9月2日(土)14:00~17:00
場所: 沖縄県立図書館 3階ホール

 

   

 第4回のテーマは「地域のコニュニケーションをデザインする」。講師は紫牟田伸子氏。残念ながら、台風11号の影響で紫牟田氏が沖縄入りできず…、オンラインでの開催となった。
 元々編集者として出発した紫牟田氏。地域経済活性化プロジェクト『おいしいキッチン』(福井市/2005〜)にプロジェクトエディターとして携わったのがきっかけで、地域のものづくり支援や地域の編集などを支援してきたという。地域での仕事を通してより深くデザインに興味が湧き、「社会や地域に適切に作用するデザインとはどういうものか?」と仲間と共に研究をスタートさせた。と同時に、編集・ライターのスキルを活かして国内外で興ったコミュニケーションの場やその発起人を訪ね、“シビックプライド”の側面から事例取材を重ねている。
 「取材を通して感じるのは、アートやアーティストには媒介する力があるということだ」と紫牟田氏。都市や地域にストックされている文化資産に、アートやレジデンスを掛け合わせることで、地域や経済に寄与できる取り組みが生れる可能があると語った。「多様な文化を持つ沖縄でも、“地域文化資産”を使って“地域文化外資産”を獲得することができるはず」と力強く仰っていた。


 
 第2部は宿題について受講生に意見を発表いただいた。

【考察1】アーティスト・イン・レジデンスのイメージについて
「SUKIYAKIというミュージックイベントが浮かんだ」、「アーティストにどこまで地域のことを分かってもらえるのか、押し付けにならないか、と難しさも感じる」、などが上がった。


【考察2】アーティスト・イン・“〇〇”の“〇〇”の部分に入るワードとは

以下、受講生のアイディア。
○アーティスト・イン・網走刑務所
○アーティスト・イン・村役場
○アーティスト・イン・農業/農家、 災害/防災ボランティア
○アーティスト・イン・義務教育
○アーティスト・イン・面接/企業説明会
(以上受講生の声、一部抜粋)

 アイディアを聞いた紫牟田氏。「皆さんありがとう。ぜひ活字資料にまとめて、見せて欲しい!」と何だか嬉しそう。「誰それ イン どこそこ」。これまでのレジデンスの定義に囚われず視点を変えれば、まだまだ新たな文化創造が生まれてくるんじゃないかと話した。一方で、「持続的活動へと育むためにも、受け入れる側が疲弊しない・消費されない(オーバーツーリズム)仕組みづくりが重要だ。でも文化事業って助成金事業の面もあるから、難しいさもあるよね…」と、予算面での難しさについても吐露した。

 最後に紫牟田氏から受講生へ。

 「少子化が進む日本では“成長”をどう捉えるかが重要なテーマの一つで、何らかの新しい仕組みが必要だと思います。だから、今以上に地域経済に一緒に関与してくれる来訪者の存在が欠かせない。これから、社会や地域の中で自走して、沖縄に良いインパクトを及ぼしていけるような取り組みが、皆さんから生れると良いなぁ」とエールを送った。

 次回9月9日(土)は延期したCHAPTER.2を実施します。講師は橋本正徳さん。テーマは「自己組織化できるチーム作りを考える」です。

(執筆:具志堅 梢)

(※1)シビックプライドとは、都市やまちに感じる“誇り”や“愛着”、“共感”のことで、地域やまちを自分たちが作っているんだ、より良いまちにするために自分自身が関わっているんだ、と感じる当事者意識に基づく自負心のこと
(※2)アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストが一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる文化環境で作品制作やリサーチ活動を行うこと。またはアーティストの滞在制作を支援する事業のこと

講師:紫牟田 伸子(編集家 / プロジェクトエディター / デザインプロデューサー)
美術出版社、日本デザインセンターを経て、2011年に個人事務所設立。「ものごとの編集」を軸に企業や社会・地域に適切に作用するデザインを目指し、地域や企業の商品開発、ブランディング、コミュニケーション戦略などに携わる。2017年より、株式会社Future Research Institute代表取締役社長。
主な著書に『カラー版:日本デザイン史』(共著/美術出版社/2003)、『シビックプライド:都市のコミュニケーションをデザインする』『シビックプライド2:都市と市民のかかわりをデザインする』(共同監修/宣伝会議/2008、2015)、『編集学:つなげる思考・発見の技法』(単著/幻冬舎/2014)『シビックエコノミー:私たちが小さな経済を生み出す方法』(編著/フィルムアート社/2016)など。武蔵野美術大学、桑沢デザイン研究所、名古屋芸術大学、女子美術大学、相模女子大学非常勤講師。

「オキナワ担い手未来―アーツプロジェクトを実践する人たちを育てる―」とは?

 沖縄アーツカウンシルでは、これからの時代の文化芸術の担い手を発掘、育成することを目的とした「オキナワ担い手未来」に取り組んでいきます。
 令和5年度は次代の担い手を対象に、それぞれの活動の推進力強化や創造活動の課題解決に役立つノウハウを文化芸術支援等の専門家による講座から学ぶとともに、その学びを生かして受講生各自の課題解決戦略を考え、提案していく、沖縄文化芸術の未来を担う人材を育成するプログラムとして実施します。
 プロジェクトを行うということは、関係性を生み出し、新たな刺激を与え、これからの流れをつくり出すことです。本プログラムでは、すでにクリエイティブな仕事や活動をしている方、まちづくりやプロジェクトを実施したい方、プロジェクトを一から作ってみたい方に向け、実践者を培う“場”としていきます。

~これまでのレポート~
■プログラム概要
■Chapter.1 文化芸術の価値とは何か
 | 講師:中村美亜(九州大学大学院 芸術工学研究院教授)
■Chapter.3 「地域芸能」から考える地域の未来 | 講師:呉屋淳子(沖縄県立芸術大学 准教授)

【本ページに関するお問い合わせ】
公益財団法人沖縄県文化振興会
沖縄アーツカウンシル「オキナワ担い手未来」担当
TEL:098-987-0926 
E-mail:info-ninaite@okicul-pr.jp

主催:公益財団法人沖縄県文化振興会 (沖縄県受託事業「令和5年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業」)