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2023.12.27 Wed

【オキナワ担い手未来レポート】chapter.2 自己組織化できるチームづくりを考える

講師:橋本正徳(株式会社ヌーラボ)
日時:2023年9月9日(土)14:00~17:00
場所: 沖縄県立図書館 3階ホール

 第2回のテーマは「自己組織化できるチームづくりを考える」。講師は(株)ヌーラボの橋本正徳氏。橋本氏は「チームで働くすべての人に」をコンセプトに、チームのコラボレーションを促進して仕事が楽しくなるようなソフトウェアの開発を手掛ける。


 
 
第1部は講義。代表を務める(株)ヌーラボで、社員のEngagement(約束、愛着、絆)をどう高めて成長してきたかや、沖縄県宮古島市の中学校と連携して展開する「リゾートワーク制度」を紹介。社員が島の子どもたちへ起業家精神を届ける出前授業を、ワーケーションを取得しながら行うというユニークな事業等についてご紹介くださった。

 今回橋本氏がご準備くださったプログラムは、インプロビゼーション(インプロ/即興演劇)を取り入れて、チームビルドやコミュケーションのコツや難しさを体感するというもの。このインプロにおける考え方や要素がビジネスに有効と近年言われており、人からの要求にスピードを上げて反応すること、斬新なアイディアを生み出すこと、困難を乗り越えるチームづくり等を実現するために、国内外のビジネスシーンで活用されつつあるという。

 そしてついに、本命の第2部実践編!一体何をやらされるのかなぁ…不安そうな受講生とは対照的に、「今日は皆さんに体を張ってもらいますよ」と不敵な笑みの橋本氏。ゲームで軽く体と脳を解した後、受講生は即興演劇に挑戦した。



お題①「病院の待合室」

お題②「キャンプ場」
ルール:リーダーシップを次の人に渡していく。(自分の前に登場した人物のアイディアを受けて物語を進めアンサンブルを奏でよう)

 脚本も台詞もない即興劇がはじまった。受講生それぞれが役に扮して熱演し、終わりの見えない物語のゴールを皆んな目指した…。

インプロを体験した受講生の声(一部抜粋)。

真栄城潤一さん(フリーランスライター)体を動かしながら互いに関係性を構築していくとで、こんなにも空気が和らぐんだなと驚いた。第1部の講義ででたEngagementのお話と地続きで感じられて良かった。

久保田真弘さん(ベーシスト/映像制作会社経営)即興演劇のアンサンブルを体験することで、現実の人間関係に与える影響や思考と身体の相関関係など実践を通じて体感することができ、驚きの連続でした。

兼浜克弥さん(沖縄県精神保健福祉会連合会 副会長)チームワーク=生産性という感覚に陥ってしまいがちだが、インプロを通して、一人一人の背景を感じ取ることが大切だと改めて気づかされた。

 受講生の皆さんも緊張が和らぎ笑顔。互いの存在を身近に感じた様子で、インプロをやり遂げた後は不思議と「チーム」のような一体感・信頼感が生まれていた。


 橋本さんより受講生へ。

 「これまで叫ばれてきたmeritocracy=能力主義はどうやら違うなと。次は能力による格差を埋める“何か”が生まれるはずで、僕個人的には“コラボレーション力=対話して何かを産んでいく力”が認められるんじゃないかなって思っていて。だから今日は皆さん、いち早くその要素にタッチできたんじゃないかな!」。

 3時間という短い時間だったが、一瞬にして受講生に溶け込み時に笑いを交えて一体感を育み続けた橋本氏のプログラム。まさに、チームづくりの一片を体現して見せてくださったと感じた。

 次回は9月30日(土)。講師は小田嶋 Alex 太輔さん(EDGEof INNOVATION LCC, CEO)。テーマは「文化芸術に事業性を持たせるために」です。

(執筆:具志堅 梢)

講師:橋本 正徳(株式会社ヌーラボ代表取締役)
1976年福岡県生まれ。福岡県立早良高等学校を卒業後上京し、飲食業に携わる。劇団主催や、クラブミュージックのライブ演奏なども経験。1998年、福岡に戻り、父親の家業である建築業に携わる。2001年、プログラマーに転身。2004年、福岡にて株式会社ヌーラボを設立し、代表取締役に就任。現在「”このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」ために、Backlog、Cacoo、Typetalk、Nulab Passを開発・運営中。また、福岡本社のほか東京、京都、シンガポール、ニューヨーク、アムステルダムに拠点を持ち、世界展開に向けてコツコツ積み上げ中。

「オキナワ担い手未来―アーツプロジェクトを実践する人たちを育てる―」とは?

 沖縄アーツカウンシルでは、これからの時代の文化芸術の担い手を発掘、育成することを目的とした「オキナワ担い手未来」に取り組んでいきます。
 令和5年度は次代の担い手を対象に、それぞれの活動の推進力強化や創造活動の課題解決に役立つノウハウを文化芸術支援等の専門家による講座から学ぶとともに、その学びを生かして受講生各自の課題解決戦略を考え、提案していく、沖縄文化芸術の未来を担う人材を育成するプログラムとして実施します。
 プロジェクトを行うということは、関係性を生み出し、新たな刺激を与え、これからの流れをつくり出すことです。本プログラムでは、すでにクリエイティブな仕事や活動をしている方、まちづくりやプロジェクトを実施したい方、プロジェクトを一から作ってみたい方に向け、実践者を培う“場”としていきます。

~これまでのレポート~
■プログラム概要
■Chapter.1 文化芸術の価値とは何か
 | 講師:中村美亜(九州大学大学院 芸術工学研究院教授)
■Chapter.3 「地域芸能」から考える地域の未来 | 講師:呉屋淳子(沖縄県立芸術大学 准教授)
■Chapter.4 地域のコニュニケーションをデザインする | 講師:紫牟田伸子(編集家/プロジェクトエディター/デザインプロデューサー)

【本ページに関するお問い合わせ】
公益財団法人沖縄県文化振興会
沖縄アーツカウンシル「オキナワ担い手未来」担当
TEL:098-987-0926 
E-mail:info-ninaite@okicul-pr.jp

主催:公益財団法人沖縄県文化振興会 (沖縄県受託事業「令和5年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業」)