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2020.11.25 Wed

支援事業紹介:沖縄戦・ひめゆり学徒隊の歴史を海外に伝える展示プロジェクト(公益財団法人 沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団立ひめゆり平和祈念資料館付属ひめゆり平和研究所)

薄れゆく戦争の記憶、ひめゆり平和研究所の設立へ

ひめゆり平和祈念資料館は、平成30年に開館30周年を迎えた。元学徒であった島袋淑子館長が29年に退任されたことで、全職員が戦後生まれとなり、世代交代が本格化した。

非体験者の職員が、ひめゆり学徒隊の戦争体験を語り継ぐ上で、展示のリニューアルやワークショップなど、新たな取り組みに着手する必要に迫られた。ひめゆり平和研究所の設立は、そうした次なる時代を見据えた取り組みの一つである。ひめゆり平和祈念資料館は、県内からの訪問はもとより、県外から訪れる修学旅行生や観光客の来館が多く、平成 28 年には来館者数が 2200 万人に達した。

その一方で、沖縄戦やひめゆり学徒隊についての海外での認知度は低いという。そこで、世界的に広く知られるアンネ・フランク・ハウスが開発した映像ワークショップを試みるなど、外国人や若い世代に向けた平和教育を模索している。

ハワイでの聞き取り調査と大学との関係構築

本事業では、沖縄戦及びひめゆり学徒隊を海外に紹介する点に焦点を当て、今年度は、沖縄系移民の多いハワイでリサーチを行った。ひめゆりの塔敷地購入資金を寄付して下さったハリー儀間氏の親族がハワイにおられることから、そこを足掛かりに、ハワイに移住された元ひめゆり学徒隊引率教員の親族や同じく移住され、いまもご健在の元ひめゆり学徒隊の方への聞き取り調査、ハワイ大学との連携構築、沖縄フェスティバルでのパネル展示などに取り組んだ。

今年度のリサーチを踏まえ、海外へ発信する際、どのような展示やプログラムが効果的かを検証することにしている。

ハワイ最大級のローカルイベント「沖縄フェスティバル」にてひめゆりのパネルを設置

担当プログラムオフィサーのコメント

ひめゆり平和祈念資料館を訪れた人も多いことでしょう。そこには、動員された若い学徒の方々が、戦火の中で生きた証が、その営みが展示されています。

元ひめゆり学徒隊の方々が語り継いできた体験を、これからは戦後生まれ世代が、同じく戦争を知らない世代に伝えていかなければなりません。こうした状況のなかで、どのようにこの責務を果たすことができるのかを考えるのが、平和研究所の役割だと思います。

ハワイでのリサーチでは、パールハーバーの歴史は知っていても、沖縄戦は知らないのではないかという仮説が立証されたそうです。一方向の戦争史観ではなく、創造的な活動を通じて共に学びあう平和教育の構築に向けた取り組みが始まりました。