2021.04.13 Tue
10年以上途絶えているシティブディ
与那国島の「シティブディ(シティ踊り)」は、シッティ(節祭)の期間中に各公民館が対抗して総動員で舞踊、キングイ(狂言)、クミブディ(組踊)、ブー(棒踊り)などを披露する行事で、かつては5 つある公民館それぞれから150名もの人々が参加し、6 時間にも及んで盛大に開催されたという。近年は町制施行の記念として町が組織する実行委員会を主体に10年ごとに行われてきたが、前回の町制70周年(2017年)には開催されず、披露の機会がほぼ「シティブディ」のみである組踊と狂言においては、継承の断絶が危惧されている。
次世代への継承がスタート
与那国フォーラムが4年間にわたって実施した与那国民俗芸能の継承に関する調査では、後継者の著しい減少や指導者層の高齢化などから、担い手の育成が急務であることがわかった。調査結果をもとに策定した人材育成計画は、高校進学のため島を離れることになる中学生ひとりひとりにもしっかり伝わるようにと全編イラスト入りのわかりやすい冊子「与那国島の『祭事芸能』をうけつぐBOOK ―与那国民俗芸能人材育成計画書」にまとめ、島内全戸に配布された。沖縄県立図書館などでも読むことができる。
今年度はいよいよ「うけつぐBOOK」をもとに、目標となる発表の機会「シティブディ」の復活を目指し、継承の場を作る島を挙げた取り組みが始まった。DiDi与那国交流館を会場に、舞踊、組踊地謡(琉球古典音楽)、狂言の講習会が定期的に開催され、舞踊と組踊地謡の講習会には沖縄島や石垣島の郷友会からも参加があり、島外に進学した高校生も数名参加した。狂言の講習会には島内の20代の若者や小学生も参加し、次世代への継承の期待が膨らんでいる。
「シティブディ」復活を念頭に、継承に向けた与那国島での奮闘は続く。
担当プログラムオフィサーのコメント
今年度の取り組みの成果報告として行われた講評会では、舞踊、琉球古典音楽(組踊地謡)の発表とともに、獅子も登場するにぎやかな狂言「アサカティ」が実演されました。講習会に参加した若者たちも出演し、盛んな拍手を受けていたそうです。「シティブディ」開催に向けて、着実な一歩です。