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2020.12.28 Mon

支援事業紹介:地域の8㎜映像オープンデータ実証実験によるデジタルアーカイブ・ネットワーク推進事業(株式会社 シネマ沖縄)

 

8mmフィルムの復元が 200 本を超え、なかには貴重なフィルムも

1950~70 年代に普及した8mmフィルムだが、現在では使用されなくなり、多くが劣化・廃棄されている。家庭用の記録フィルムだから、テレビでは映されない地域の祭祀や家庭での風習・文化などが多く記録されている。そこに目をつけ、収集を呼び掛かけたのがシネマ沖縄である。多くの方がその内容を共有できるように、デジタル化、ウェブサイトへのアップロードを行っている。

平成 29 年度から収集し、現在アップロード数は 200 本を超える。中には、米国大統領アイゼンハワーの来沖のようすや、戦後沖縄の西洋画芸術に大きな功績を残した玉那覇正吉氏のアトリエでの活動のようすなどを収めた貴重な映像も発見された。収集活動が少しずつ認知され、保存していた映像を復元してほしいと持ち込みもでてきている。

今年度は、旗頭の復活に伴い、旗頭の制作のようすをデジタル化し、お披露目できたことが大きな話題を集めた。また、新たな取り組みとして、二十日正月に踊るジュリ馬フィルムの復元をクラウドファンディングで達成できたこともあげられる。話題集めと自走化のための資金造成を目的としたもので、2月 14 日にはお披露目会とトークショーを実施した。


医療施設や高齢者福祉施設での上映会の開催

今年度は、活用の可能性を模索するため、外出が難しい高齢者の方を対象に、医療施設や高齢者施設
を訪問する出張上映会の開催を試みた。施設利用者の皆さんは、8mmフィルムが普及した時に子どもや青年であった方がほとんどであるため、記録映像を実際に体験していた世代となる。

上映会は、その時々の情勢や流行などの解説を交えたもので、視聴者にも意見や感想を聞き、会話をしながら進めた。映像だと写真よりも視覚情報が多く、まるでタイムスリップしたかのように当時の情景が思い返せるようで、「この時はこうだったんだ」と活発な発言が次々に飛びだし、受け入れ施設の医院長や担当の理学療法士も驚くものであった。

また、立場が逆転したかのように、施設利用者の方が職員へ教えようとするようすも新鮮であったようだ。職員も交え、わいわいと賑やかに楽しんでいた様子が印象に残る。

ハワイにて、復元された8mmフィルム上映会の様子

担当プログラムオフィサーのコメント

今回は初の試みとして、ハワイでの上映会を行いました。ハワイ移民沖縄県系一世の映画プロデューサー渡口政善さんの記録映画フィルムを発見したのがきっかけです。1932 年頃のハワイや沖縄の状況がわかる映像資料ということもあり、直接関わった世代ではなくとも、参加者は声をあげて歓喜、懐かしみました。

ヒアリング調査から、フィルムの収集については信頼を築きながら地道に進めていく必要があるのだろうと実感するとともに、参加者の笑顔を見て、保存の大切さを再認識した上映会でした。上映会の最後に「どうか、8mmフィルムを捨てないでください」と話す真喜屋力さんの姿が記憶に残ります。