2026.10.21 Wed
10月31日よりはじまる3つの「めぐる講座」。令和7年度より続いている、文化芸術の担い手育成を目的とした「めぐるプロジェクト」、今年度は地域の文化芸術を読み解くことをテーマとして、3つの異なるテーマでプレゼンターを招いた講座を開催します。

第1回目のテーマは「地域介入の作法」。
地域で受け継がれてきた文化や、地域のコミュニティにアートの手法を用いて関わる際には、行き違いや衝突が起こることがあります。そうした失敗から学ぶこともありますが、そもそも地域の外から関わる には、どのような作法や倫理観が必要でしょうか。
沖縄アーツカウンシルには、地域との関わり方や協働のあり方について、さまざまな相談や悩みが寄せられています。本講座では、そうした課題について参加者一人ひとりが考えるきっかけとなることを目指し、アートコーディネーターであり、秋田市文化創造館ディレクターの芦立さやかさんをお招きして、お話を伺います。沖縄アーツカウンシルの元プログラムオフィサーでもある芦立さんは、文化事業の現場で何を大切にし、実践を重ねてこられたのでしょうか。今回は、横浜・京都・沖縄・秋田と、さまざまなフィールドに関わってきた芦立さんのこれまでをご紹介します。

BankART1929
横浜育ちの芦立さんが大学4年生の頃から関わり始めたのが、2004年に横浜に開館したBankART1929です。初めはアルバイトとして、主に受付を担当していました。ふらりと訪れた人も、回を重ねるうちに重要な顧客になるかもしれないし、思いもよらないアイデアを持ってくるかもしれない。そのきっかけを逃さないために、受付はしっかり話を聞く場所である、ということを学びました。
卒業後はスタッフとして約2年間勤務し、アーティストのスタジオプログラムの運営や、街中の飲食店などを巻き込んだ展覧会などに携わったことが印象的でした。BankART1929での経験を通して、施設の中だけにとどまらず、その活動をどうまちに展開させるか。まちに住む人たちの気持ちに何かスイッチが入らないと、自分たちのやっていることに意味がない、という感覚が身につきました。

HAPSオフィス内でのイベントの様子
フリーランスのアートマネージャーとして、各地の芸術祭や展覧会制作に関わる数年間を経て、京都を拠点とするHAPSの活動に携わります。若手のアーティストが作品を発表する現場にいたことで、自分の表現よりも、場をこなしていくことに精一杯になる様子を目の当たりにしました。発表をする場だけではなく、それよりも前の段階の、創作の現場や、さらには生活についてのサポート方法を模索し、HAPSに結びつきます。
HAPSでは、京都を拠点に活動している若手のアーティストの支援を目的として、創作の場や居住の場について、ネットワークを活用してサポートしていくことが求められました。中心的だったのは、住居を提供する大家さんとアーティストをつなぐこと。双方に必要なことや理解してほしいことを伝えながら、協力関係をつくっていく仕事でした。

Arts Tropical
2018年から、出産・子育てをきっかけにパートナーの出身地である沖縄へ移住した芦立さん。家族でカフェ兼ギャラリースペースを始めました。これまで公的資金をもとにした事業に関わってきた芦立さんにとって、自主財源で運営することは初めての経験でした。カフェでコーヒーやカレーを売って生計をたて、ギャラリーも運営する。アーティストや地域の方々が自らの志を持って物事を進めていくことの意思の強さや難しさを身をもって経験し、より尊敬の思いが強くなったと振り返ります。
地域の方がめずらしい古酒を目当てに通ってくれたことが、営業の大きな助けになっていました。出展作家にもおごってくれたり、その場でのおしゃべりや、普段触れることのない思想との出会いを楽しんでくれました。

秋田市文化創造館
Arts Tropicalと並行して、沖縄アーツカウンシルで1年半ほど勤務しました。短い期間の中で、担当事業者さんとの関わりや、他のプログラムオフィサーとの関わりで学んだことは、今の秋田市文化創造館での活動にも生きています。
月に1度の「ぶんかとほじょきんそうだん会」では、相談者の話をより深く聞くことが大切で、自分がアドバイザーになってはいけない、ということを学びました。自分の経験やネットワークから、選択肢を増やすことはできても、決定するのは事業者自身である、ということが、自信を持って事業を進めていくためにも重要です。
2021年からは拠点を秋田に移し、2022年には秋田市文化創造館のディレクターに就任。ここでの実践については、10月31日の3つの「めぐる講座」で詳しくお話を伺います。
アートの場を地域に開いていくこと、アーティストと地域の人をつなぐこと、誰かを支援すること。いずれにも、ひとつの正解があるわけではありません。聞き手の上地里佳さんとの対話を通して、これまでの芦立さんの成果と、失敗や葛藤をもとに、話を深めていきます。
秋田市文化創造館:2026年12月に開催された緊急開催トークイベント「クマと人の共生を学ぶ」では、現在の市街地等に熊が出没する現状を受けて専門家等とともに考える機会をつくった。(写真:星野慧)
秋田市文化創造館:2026年3月~4月に開催された藤浩志による「Project Goodbye」関連企画素材と制作と循環を考える現場「かえる、かえる。」
秋田市文化創造館:2026年5月に開催された「第3回チャレンジマーケット」では、市民の「やってみたいこと」が多数集まった。(写真:伊藤靖史)
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プレゼンター:芦立さやか(あしだて・さやか) |
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聞き手:上地里佳(うえち・りか) |
参加詳細は以下のサイトからご確認ください。
【参加者募集!】めぐるプロジェクト「3つのめぐる講座」
めぐるコラム(随時更新中)
コラム #0: めぐるプロジェクトを巡って〈めぐるプロジェクト2026〉
オキナワ担い手未来(2023年度)
【オキナワ担い手未来レポート】chapter.1 文化芸術の価値とは何か
【オキナワ担い手未来レポート】chapter.2 自己組織化できるチームづくりを考える
【オキナワ担い手未来レポート】chapter.3 「地域芸能」から考える地域の未来
【オキナワ担い手未来レポート】chapter.4 地域のコニュニケーションをデザインする
【オキナワ担い手未来レポート】Chapter.5 文化芸術に事業性を持たせるために
【オキナワ担い手未来レポート】Chapter.6 オルタナティブスペースの運営と取り組み
【オキナワ担い手未来レポート】Chapter.7 デザインとはどういった術なのか
【オキナワ担い手未来レポート】Chapter.8 アートプロジェクトのディレクションと運営
最終回!【オキナワ担い手未来レポート】Chapter.9 報告会及び講評会
オキナワ担い手未来~実践編~(2024年度)
【実践編開始!】オキナワ担い手未来 ーアーツプロジェクトを実践する人たちを育てるー
めぐるプロジェクト(2025年度)
「めぐるプロジェクト」スタート。
Report: めぐるプロジェクト第1回目「芸をめぐる」~組踊との出会いが問いかけたもの~
Report: めぐるプロジェクト第2回目「心をめぐる」~心を聴き、心を演じる~
Report〈前半〉: めぐるプロジェクト第3回目「島をめぐる」~水納島の風景から感じるもの~
Report〈後半〉: めぐるプロジェクト第3回目「島をめぐる」~水納島の風景から感じるもの~
Report: めぐるプロジェクト最終回「 」をめぐる ~めぐり、見つめ、形にする~
【本ページに関するお問い合わせ】
公益財団法人沖縄県文化芸術振興会 沖縄アーツカウンシル
「めぐるプロジェクト」担当(喜舎場・橋口・古俣)
TEL:098-987-0926
E-mail:info-ninaite@okicul-pr.jp
主催・企画制作:公益財団法人沖縄県文化芸術振興会 (沖縄県受託事業「令和8年度沖縄文化芸術の創造発信支援事業」)
共同企画:一般社団法人まなびとまちと