2021.04.13 Tue
新しいアートセンターの設立を目指して
沖縄のアートシーンは潜在的な可能性を秘めている。Art Initiative Okinawa(AIO)はその可能性を現実のものとすべく、かつて那覇市を拠点に活動した前島アートセンターが果たしていた役割に着目する。その役割とは国内外のアート関係者と、沖縄に点在するアーティストや拠点、アートプロジェクト、さらには地域の人々を有機的につなぐ橋渡し的な機能であった。
前島アートセンターが終了した後も、沖縄ではさまざまな実践が繰り広げられている。事前の関係者ヒアリングによると「地域や世代を超えたネットワーク形成」「アーティストと鑑賞者の対話の場」「仕事につながるスキルを学ぶ機会」が切望されていることがわかった。
AIO はそうした声を手掛かりに、多様なプラクティショナーたちのプラットフォームとなるべく、新しいアートセンターの設立を目指して活動を開始した。
ダイアローグとプロジェクトの実践
まずAIOが取り組んだのは、対話の場づくりであった。コロナ禍ということもあり、国内外と沖縄のアート関係者をつなぐうえで、オンラインでの取り組みは欠かせなかった。ゲストにアーティストや国内外のキュレーターらを招き、毎月1回程度のペースで、ZOOMを用いて講座や対話の機会を設けた。そうした意欲的な活動は、県内アーティストたちに世界へ広がるネットワークの存在を示すことになる。コロナ禍で混沌とする状況にあって、ますます対話の重要性を再確認する機会となったことは言うまでもない。
オンラインでの活動に加え、今年度のハイライトでもある南城市の糸数城跡を舞台にした音のサウンドインスタレーション「Soundscape Okinawa」を成功裡に終えた。オンラインとオフラインを往来するプラットフォームに、熱い視線が寄せられている。
担当プログラムオフィサーのコメント
図らずも、コロナ禍においてオンラインへのハードルが下がったことも功を奏しました。国際的に活躍するアーティストの照屋勇賢さん、キュレーターとして独自の展開を見せるロジャー・マクドナルドさんら、ゲストもユニークで刺激的。オンラインとオフラインを巧みに使い分ける展開に期待が膨らみます。