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2020.10.05 Mon

支援事業紹介:三線文化の普及連携事業(沖縄県三線製作事業協同組合)

三線文化の伝承に対する危機感
 沖縄県内で保有されている三線の数は、平成28年度に三線組合が実施した調査によれば約82万挺であるが、うち75%は比較的安価で購入できる外国産であることも同時に判明。いわゆる沖縄ブーム以降、外国産の三線はネット販売や沖縄土産の販売店などで急速に販売数を伸ばしていた。指導者に師事せず自己流で演奏する愛好者が増えるに伴って、演奏だけでなく三線や沖縄の文化、曲の背景など、これまで一般的だった伝承が希薄になっているのではないか。危機感を持った三線組合は、三線の末長い愛好につなげるべく、職人の立場から三線の歴史と文化を県内外に発信する取り組みを、平成30年度にスタートした。

全国各地で県産三線の魅力を発信
 初年度は職人による講和会や無料相談会、各地の三線指導者の協力を得た無料体験などを全国で行い、三線愛好者や三線に興味のある人々に直接働きかけ、県産三線の魅力発信の拠点作りを目指した。さまざまな連携先を得て取り組みが順調に進んだ札幌では、新しい取り組みとして、職人と演奏家が各立場から三線の魅力を伝えるクロストークも行った。そして平成31年2月、念願の拠点「三線組合札幌三線教室」の立ち上げが実現した。
 2年目の今年度も各地での講和会などを継続。職人と演奏家のクロストークは特に好評で、組合が研究・復元した「琉球王朝時代の復元三線」と現代の三線の聴き比べや、現在活躍している演奏家3名の声の特性に合わせて製作した「アーティストモデル」の演奏を含めたトークなど工夫を凝らし、新たな来場者に向けた情報発信に成功した、名古屋での拠点となる三線教室を立ち上げるなど、着実に前進する三線組合。県産の三線を奏でる愛好者が日本中に溢れる日をめざす。

写真:(上)各地で好評だった職人講和会。材料の蛇皮に注目が集まる
   (下)札幌での無料三線体験

担当プログラムオフィサーのコメント
三線組合の取り組みの中心になって奔走する、事務局長の仲嶺幹さん。お会いするといつも「林さん、いま考えているのはさー…」と、今後の活動の構想を話してくれます。組合の新商品のことや新しい販路について、職人の育成、若手実演家の活躍の場の創出などさまざま。アイデアは尽きません。講和会でも、職人としての経験から繰り出される興味深い話と明るい人柄が来場者を惹きつけ、終了後には必ず彼のまわりに人の輪ができています。事務局長の業務と職人としての三線作りとの両立は相当にハードでしょうが、常に前向きな仲嶺さんのもと、組合の活動は今後ますます広がりを見せることでしょう。